kintone帳票出力プラグインとの違いは?PDF編集と使い分ける3つの判断基準

kintoneで業務改善を進めても、なぜか最後までなくならない紙の作業。特に顧客からメールで届く、フォーマットが毎回違う注文書や申込書などへの対応は、多くの担当者が頭を悩ませるポイントです。

kintoneで多くの業務は効率化できているのに、このPDFへの追記・押印作業だけは手作業のまま。そのためにPDFを一度印刷し、手で記入・押印し、再度スキャンしてPCに取り込む・・・。このひと手間にもどかしさを感じてはいないでしょうか。

この課題は、「帳票出力系プラグイン(プリントクリエイター、レポトン、k-Reportなど)」と「PDF編集プラグイン」の役割の違いを理解し、正しく使い分けることで解決します。私たち自身も過去の案件で全く同じ壁に直面しカスタマイズで対応をした経験があるのですが、「同様の悩みを抱えているところもあるのでは?」と考え、PDF編集プラグインを開発した経緯があります。だからこそ、この使い分けの重要性を深く理解しています。

この記事では、多くの帳票出力プラグインでは対応が難しい「外部PDF」という課題を解決するための具体的な考え方を解説します。読み終える頃には、2つのプラグインの根本的な違いを理解し、自身が抱える課題に最適なのはどちらなのか、明確に判断できるようになっています。

帳票出力プラグインでは対応できない?「外部PDF」という見過ごされた課題

kintoneアプリの開発・管理者であれば、現場のユーザーから次のような相談を持ちかけられた経験があるのではないでしょうか?

よくある顧客やユーザーからの要望:「送られてきたPDFにkintoneで押印したい」

「取引先からメールで送られてきた注文書PDFに、kintoneで管理している受注日と担当者名を追記して、承認印を押して返送したい」

この要望の本質は、kintoneを社内のデータ管理ツールとしてだけでなく、社外とのやり取りも含めた一連の業務プロセスの中でも使えないか?という期待の表れです。一見簡単なように見えますが、標準機能では対応が難しいため、厄介な壁が潜んでいます。

帳票出力プラグインでの対応は難しい:固定フォーマットという制約

kintoneで帳票を扱う場合、まず思い浮かぶのが「帳票出力プラグイン」です。プリントクリエイター、レポトン、k-Reportなど様々なプラグインが各社から提供されていますが、これらのプラグインは、あらかじめ用意したテンプレートに対してkintoneのフィールド値をマッピングし、帳票をゼロから生成する際に用いられます。

定型帳票を定期的に出力する目的においては帳票出力プラグインはとても有効ですが、今回のケースのように目的が異なると、この「固定フォーマット」が逆に越えられない壁となってしまいます。扱うPDFのフォーマットは取引先ごとに異なり、自社でコントロールすることができないためです。

取引先側のフォーマットのために帳票出力プラグインで都度帳票定義を作るということも考えられますが、これはやる意味がなく、現実的ではありません。

私たちの場合:JavaScriptカスタマイズでこの課題を乗り越えた

実は、私たち自身も過去の案件で全く同じ壁にぶつかった経験があります。 お客様のkintoneアプリの導入や運用をサポートする中で、「取引先から受領する多種多様なフォーマットのPDFに、kintone上で押印し、承認フローを回したい」というご相談がありました。

お客様がやり取りする相手は多岐にわたり、送られてくるPDFも各社異なるフォーマットであるため、それをこちらで制御することは不可能です。当時、このご相談に対してはまず、kintoneではない電子署名サービスを利用した方法を提案をしましたが、kintoneでどうにかしたいというお客様の強い要望があったこともあり、私たちは最終的にJavaScriptでの個別開発によってご要望を実現しました。

その時、「このような課題はこのお客様だけの特殊なものではなく、きっと他にも多くの企業が悩み、非効率な業務を続けているのではないか」と強く感じました。 この経験が、私たちが後にPDF編集プラグインを開発する原点となりました。

解決策は「使い分け」|帳票出力とPDF編集の決定的な違い

第1章で見たように、「外部から受領するPDF」への対応は、従来の帳票出力プラグインだけでは困難です。では、この課題をどう乗り越えればよいのでしょうか。

その答えは、2つのプラグインを対立するものとしてではなく、それぞれの得意分野を活かすチームとして捉え、戦略的に使い分けることにあります。この章では、その「使い分け」の根拠となる、両者の違いを明らかにします。

2つのプラグインの役割比較表

帳票出力プラグインとPDF編集プラグインの特性の違いを以下の表にまとめました。これは単なる機能の優劣ではなく、それぞれの「役割」が全く異なることを示しています。

比較の切り口帳票出力プラグインPDF編集プラグイン
① 主な目的kintone内のデータを使って、定型帳票をゼロから生成する外部から受領した既存PDFに、kintone内のデータや固定のテキスト・印影などを追記・加工する
② 得意なPDF見積書・請求書など、社内で作成するレイアウトが決まったPDF注文書・申込書など、社外から受領するフォーマットが不定なPDF
③ レイアウトの柔軟性低い(あらかじめ定義したテンプレートのレイアウトに依存する)高い(元のPDFのレイアウトに関係なく、任意の位置に追記・加工が可能)
④ コスト感・プラグイン利用料がかかる
・JavaScriptによる個別カスタマイズよりは安価
・プラグイン利用料がかかる
・PDF編集ソフトの全社ライセンス契約よりは安価(人数による)
・JavaScriptによる個別カスタマイズよりは安価

PDF編集プラグインが「外部PDFの壁」を乗り越える理由

この比較表からわかる最も重要な違いは、①主な目的、つまり「ゼロから作る」のか「既存を編集する」のかという点にあります。

帳票出力プラグインは、会社の規定フォーマット(テンプレート)に従って、議事録や報告書をゼロから作成する書記担当者のような存在です。決められたフォーマットの帳票を正確に作り上げます。

一方でPDF編集プラグインは、取引先から送付されてきた注文書や申込書など(既存の外部PDF)に対して、内容を確認し、コメントを追記したり、承認印を押したりする決裁者のような役割を担います。元の書類がどんな形式であれ、その上から必要な情報を追加するのが仕事です。

第1章で挙げた「顧客から送られてきた注文書に押印したい」という要望は、後者の「追記・押印」の業務に他なりません。だからこそ、この「外部PDFの壁」を乗り越えるには、生成ではなく編集が可能であるプラグインが必要になります。

帳票出力プラグイン/PDF出力プラグインの選定における3つの判断基準

帳票出力プラグインとPDF出力プラグインの根本的な役割の違いを踏まえたうえで、「業務で使うべきなのは、結局どちらなのか?」という問いには、次の3つの判断基準を自身の状況に当てはめながら考えていくとよいです。

【基準1】PDFはどこから来るのか?(内部作成 or 外部受領)

まず最初に考えるべきは、業務で扱うPDFの「発生源」です。

自社のkintoneから見積書や請求書を発行する場合:帳票出力プラグイン

PDFのフォーマットを自社で完全にコントロールできるケースです。
kintoneに蓄積されたデータを基に、決められたフォーマットで書類を内部で作成し、出力するのが主な目的であれば、帳票出力プラグインが最適です。

取引先から注文書や申込書が送られてくる場合:PDF編集プラグイン

PDFのフォーマットを自社でコントロールできないケースです。
取引先ごとに異なるフォーマットのPDFを外部から受領し、それに追記や押印をして対応する必要があるなら、PDF編集プラグインがその役割を担います。

【基準2】レイアウトはいつも同じか?(定型 or 不定形)

次に確認するのは、扱うPDFのレイアウトが固定的か、それとも変動するかです。

毎回同じレイアウトの書類を扱う場合:帳票出力プラグイン

何度出力してもレイアウトが変わらない定型の帳票(例:自社フォーマットの見積書)であれば、テンプレートを一度作成すれば済む帳票出力プラグインの仕組みが最も効率的です。

相手によってレイアウトが異なる書類を扱う場合:PDF編集プラグイン

取引先ごとにフォーマットが異なる、あるいは同じ取引先でも案件によってレイアウトが変わる不定形の書類を扱う場合、帳票出力プラグインでは対応が追いつきません。元のレイアウトを問わず、任意の位置に情報を配置できるPDF編集プラグインの柔軟性が活きてきます。

【基準3】主な目的は何か?(発行業務 or 返送業務)

最後に、その業務のゴール、つまりプロセスの流れを考えます。

kintoneを起点に書類を“発行する”のが目的の場合:帳票出力プラグイン

業務プロセスが、kintoneからの書類発行で完結する、いわば一方通行の発行業務が中心であれば、帳票出力プラグインが適しています。

受け取った書類に手を加え“返送する”のが目的の場合:PDF編集プラグイン

社外との双方向のやり取りが発生し、受け取った書類を処理して差し戻す返送業務がプロセスに含まれるのであれば、PDF編集プラグインが必要です。

この3つの基準で検討すれば、現在抱える課題がどちらのタイプに当てはまるか、明確になったのではないでしょうか。

実際の業務改善イメージを見てみよう

ここまでにご紹介した3つの判断基準によって、ご自身の業務にはPDF編集プラグインが最適かもしれない、と感じた方も多いかもしれません。これまで行っていた「PDFを印刷し、手で記入・押印し、再度スキャンしてPCに取り込む」という一連のプロセスが、kintone+PDF編集プラグインでどのように完結できるようになるのかについては、別記事で画面イメージを交えながら詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

参考記事:PDFの印刷→回覧からの脱却|kintoneで実現する社内の紙申請電子化

よくある質問(Q&A)

PDF編集プラグインの具体的な導入を検討する上で、よくお受けする質問とその回答をまとめました。

編集後のPDFはどのように管理されますか?

設定として、「上書き」するか「別フィールドに保存」かの2パターンを選択可能です。
「上書き」の場合、編集後のPDFは元のPDFが添付されていたレコードの添付ファイルフィールドに上書きで保存されます。
「別フィールドに保存」の場合、元のPDFはそのままの状態となり、編集後のPDFは指定した別フィールドに保存されます。

PDF編集ソフト(Adobe Acrobatなど)を導入するのと、何が違うのですか?

最大の違いは、kintoneのデータや業務プロセスと直接連携できるかどうか、という点にあります。

  • 業務プロセスの観点
    PDF編集ソフトでの作業は、kintoneとは切り離された独立したタスクになります。一方、PDF編集プラグインはkintoneのプロセス管理の一環として、「PDFを編集して添付する」というアクションを承認フローのステップに組み込むことが可能です。これにより、業務プロセス全体をkintone上でシームレスに完結させられます。
  • ライセンス管理の観点
    PDF編集ソフトは、利用するユーザーの数だけライセンスの購入とインストールが必要です。プラグインの場合はkintone環境単位での利用となるため、ライセンス管理の手間という点でもメリットがあります。

まとめ

今回は、kintoneの「帳票出力プラグイン」と「PDF編集プラグイン」の根本的な違いと、業務に合わせた最適な使い分けについて解説しました。この記事の重要なポイントは次の3点です。

  • kintone業務に残る「外部PDFの壁」
    多くの帳票出力プラグインは、取引先から送られてくるフォーマット不定のPDFへの追記・押印といった業務には構造的に対応が難しい。
  • 根本的な役割の違い
    帳票出力プラグインが「ゼロから定型帳票を生成する」のに対し、PDF編集プラグインは「既存のPDFを編集・加工する」という、全く異なる目的を持っている。
  • 最適な選択をするための3つの判断基準
    ①PDFの発生源(社内か社外か)、②レイアウト(定型か不定形か)、③主な業務目的(発行か返送か)の3点で、必要なプラグインを明確に判断できます。

この「使い分け」という視点を持つことで、これまで諦めていた非効率な手作業をkintone上で完結させ、業務プロセス全体の改善へと繋げられます。

この記事を読んでPDF編集プラグインが気になったようであれば、是非体感してみてください。
30日無料でお試しいただけますので、是非お気軽にお申し込みください。

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