kintoneの組織変更や人事異動に伴う影響範囲の調査に、どれだけの時間を費やしていますか?
組織変更の時期が近づくと、「またあの確認作業が待っているのか」と思うkintoneアプリ管理担当の方も多いのではないでしょうか。 kintoneは柔軟なアプリ作成ができる反面、組織やユーザーの設定変更に伴う影響範囲を特定する機能が標準では用意されていません。そのため、設定変更の前には、変更・削除対象となるユーザー・組織・グループが設定上のどこで利用されているのか、何十・何百というアプリを一つひとつ開き、設定画面を確認するという作業を強いられます。ある程度対象アプリに目星がついているならばよいのですが、そうでない場合はとにかく手間のかかる作業です。
しかし、どれだけ注意深く確認しても、人間がやる以上、見落としのリスクを完全にゼロにすることは困難です。設定変更後に「レコードが急に見えなくなった」「承認フローが止まってしまった」といった問い合わせをいただいた経験がある方も多いはずです。
「特定のユーザー・組織・グループが、kintone上のどこで使用されているのか、確認ポイントまとまっているページが欲しい」 そんな切実な声に応えるために、本記事を作成しました。
ここでは、kintoneのユーザー・組織・グループが利用されている箇所を網羅したチェックリストを公開します。 この記事を読み、チェックリストに沿って確認を進めれば、影響箇所の抜け漏れを確実に防ぐことができます。組織変更をトラブル無しでエンドユーザーの業務が止まらず乗り切るために、一緒に確認ポイントを見直していきましょう。
また、記事の最後には、この確認作業の手間を大幅に削減するプラグイン(2026年1月提供予定)の情報と、本記事のチェックリストを元に作成した簡易ツールについてもご案内します。ぜひ最後までお付き合いください。
目次
kintoneユーザー・組織・グループの使用箇所チェックリスト
組織変更や人事異動の際、影響範囲を確認する際に「どこを確認すればよいか」がまとまっていないと、必ず確認漏れが発生します。まずは全体像を把握するために、以下のチェックリストをご活用ください。
このリストは、アプリの設定からAI管理まで、確認すべき箇所を全て網羅しています。(2025年12月時点)
| 分類 | 設定項目 | 詳細・確認ポイント |
| アプリの設定 | 1. アクセス権 |
・アプリのアクセス権:ユーザー/組織/グループ ・レコードのアクセス権:レコードの条件、ユーザー/組織/グループ ・フィールドのアクセス権:ユーザー/組織/グループ |
| 2. プロセス管理 |
・作業者:作業者、アクションが実行できる条件 ・作業者以外:アクションのユーザー設定 |
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| 3. 通知 |
・アプリの条件通知:通知先 ・レコードの条件通知:レコード条件、通知先 ・リマインダーの条件通知:通知の条件、通知先 |
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| 4. フィールド |
・ユーザー選択:選択肢、初期値 ・組織選択:選択肢、初期値 ・グループ選択:選択肢、初期値 ・ルックアップ:絞り込みの初期設定(コピー元の絞り込み) ・関連レコード一覧:さらに絞り込む条件 |
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| 5. 一覧 | ・絞り込み条件:一覧ビューごと | |
| 6. グラフ | ・絞り込み条件:グラフごと | |
| 7. カスタマイズ/サービス連携 |
・各JavaScriptファイル:ソースコード内にコーディングされた部分 ・各プラグイン設定:プラグイン独自の条件設定や権限設定 |
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| 8. その他 |
・アクション:アクションの利用者、条件 ・アプリのメンテナンスモード:メンテナンス作業者 |
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| スペースの設定 | 1. スペース | ・参加メンバー |
| kintoneシステム管理 | 1. 設定 |
・スレッドのアクション:アクションの利用者 ・アクセス権:ユーザー/組織/グループ ・アプリグループ:ユーザー/組織/グループ |
| cybozu.com共通管理 | 1. ユーザー管理 |
・グループ(ロール):静的グループのメンバー、動的グループの条件 ・管理者の設定:cybozu.com共通管理者の割り当て |
| kintone AI管理 | 1. AI機能 |
・検索AI:利用できるユーザー/組織/グループ ・レコード一覧分析AI:利用できるユーザー/組織/グループ ・スレッド要約AI:利用できるユーザー/組織/グループ |
かなりの確認ポイントがあることが分かるかと思います。このリストにある項目を一つひとつ確認していけば、理論上、確認・設定漏れは防げます。
項目を見ただけではどの部分を確認するのかまではイメージしづらいかもしれませんので、次章からはこのリストに沿って具体的な確認箇所を解説します。
アプリの設定における確認箇所
組織変更前に、対象となるユーザー・組織・グループがどこで使用されているのかを確認したい場合、まずはアプリの設定を確認します。1アプリごとに大きく8か所(細かく分類すると約20か所)を確認していく必要がありますので、調査対象のアプリ数が多い場合、確認作業だけでもかなりの労力がかかるポイントです。
アクセス権

アクセス権は特に注意が必要となるポイントですが、アプリ・レコード・フィールドの3か所を確認する必要があります。
アプリのアクセス権
「ユーザー/組織/グループ」を確認します。

レコードのアクセス権
「レコードの条件」と「ユーザー/組織/グループ」を確認します。「レコードの条件」の場合、ユーザー選択・組織選択・グループ選択・作成者・更新者・作業者フィールドに対しての条件指定がされている場合は要確認です。

フィールドのアクセス権
「ユーザー/組織/グループ」を確認します。

プロセス管理

プロセル管理の場合、「作業者」に対する設定と、「作業者以外」に対する設定の2か所を確認します。
作業者
「作業者」の指定部分と、「アクションが実行できる条件」を確認します。

作業者以外
「作業者以外でも実行できるアクション」を作成している場合、「・・・」からのアクションのユーザー設定画面を開くことができますので、ここを確認します。

通知

通知としては、「アプリの条件通知」「レコードの条件通知」「リマインダーの条件通知」の3か所を確認します。
アプリの条件通知
「通知先」を確認します。

レコードの条件通知
「レコードの条件」と「通知先」の2か所を確認します。

リマインダーの条件通知
「通知の条件」と「通知先」の2か所を確認します。

フィールド
フィールドに対しては、条件や初期値として使用されている可能性があります。「ユーザー選択」「組織選択」「グループ選択」「ルックアップ」「関連レコード」の5つのフィールドを確認する必要があります。
ユーザー選択フィールド/組織選択フィールド/グループ選択フィールド
この3つのフィールドの場合、「選択肢を指定する」と「初期値」の部分を確認します。

ルックアップフィールド
「絞り込みの初期設定」を確認します。

関連レコードフィールド
「さらに絞り込む条件」を確認します。

一覧/グラフ

一覧とグラフの場合、設定している数だけ確認をしていく必要があります。
一覧定義
「絞り込み条件」を確認します。

グラフ定義
「絞り込み条件」を確認します。

カスタマイズ/サービス連携

ここでは、「JavaScript」と「プラグイン」を確認する必要があります。
JavaScript
JavaScriptカスタマイズを行っていない場合は特に確認不要ですが、カスタマイズを行っている場合は、各ファイルの中で特定のユーザー・組織・グループをハードコーディングしている部分が無いかを確認していく必要があります。PC用とモバイル用の2か所を確認しましょう。

プラグイン
プラグインによってはユーザー・組織・グループを設定として保存しているものがあるため、各プラグインの設定画面を開いて、影響する部分が無いかも忘れずに確認をする必要があります。

その他の設定

その他の設定としては、「アクション」と「アプリのメンテナンスモード」を確認します。
アクション
「アクションの利用者」と「アクションを利用できる条件」を確認します。特にアクションは設定変更漏れが起きやすく、設定漏れがあった場合は気づきにくい箇所でもありますので、忘れずに確認しましょう。

アプリのメンテナンスモードの設定
一部のアプリでメンテナンスモードを使用している場合は、忘れずに確認をしておきましょう。

スペースの設定における確認箇所
アプリの設定を確認したら、スペースの設定も忘れずに確認します。特にスペース内アプリの場合、アクセス権はアプリの設定よりもスペースの設定が優先されますので、スペースの設定も併せて変更しないと「アプリが見れなくなった」といった問い合わせに繋がります。
メンバーの管理
「ユーザー/組織/グループ」を確認します。


その他の管理画面における確認箇所
アプリとスペース以外には、「cybozu.com共通管理」「kintoneシステム管理」「kintone AI管理」の各画面でもユーザー・組織・グループが使われている可能性があります。この3つの管理画面についても忘れずに確認をします。
cybozu.com共通管理

cybozu.com共通管理画面では、「グループ(ロール)」と「管理者の設定」の2つを確認します。
グループ(ロール)
グループの場合、静的グループか動的グループかによって、少し変わります。
静的グループの場合は、「メンバーの変更」画面で特定のユーザーが使用されているかを確認します。メンバーとしてはユーザーが使用されている可能性があります。

動的グループの場合は、「条件の変更」画面から確認を行います。こちらの場合、静的グループに比べると柔軟に設定ができるため、ユーザー・組織・グループのいづれも使用されている可能性があります。

管理者の設定
「cybozu.com共通管理者」を確認します。ここではユーザー単位の指定になるため、特定の組織・グループを調べている場合は管理者の設定の確認は不要です。

kintoneシステム管理
kintoneシステム管理としては「スレッドのアクション」「アクセス権」「アプリグループ」の3か所を確認します。

スレッドのアクション
「アクションの利用者」を確認します。スレッドのアクションを利用しているケースは少ないかもしれませんが、忘れずに確認しましょう。

アクセス権
kintone全体に関わるアクセス権を設定する画面ですが、「ユーザー/組織/グループ」部分を確認します。

アプリグループ
kintoneの活用度が高い会社の場合、アプリグループを利用されているかもしれません。各アプリグループの「アクセス権」のリンクをクリックし、「ユーザー/組織/グループ」部分を確認します。

kintone AI管理
2025年からバージョンアップで機能追加されたAI管理の各機能ですが、「検索」「レコード一覧分析AI」「スレッド要約AI」の3点を確認します。

検索AI
「アクセス権」タブの中を確認します。

レコード一覧分析AI・スレッド要約AI
どちらも、「ユーザー/組織/グループ」部分を確認します。


影響範囲調査の手間を改善するには
ここまで、組織変更時に確認すべきポイントをカテゴリ別に解説してきました。 対象となるアプリが数個であれば問題ありませんが、数百個のアプリに対してこれら作業を一つひとつ手作業で確認していくのは、あまりに膨大な労力を要します。また、組織変更に伴う確認作業には大きく分けて以下の2つの確認フェーズが存在するため、確認作業は想定以上にかかってしまうことになります。
- 組織変更前の影響範囲の調査
変更・削除対象となるユーザー・組織・グループが、現在どのアプリのどの設定箇所で使われているかを洗い出す作業。 - 変更後の設定内容の確認
実際に設定を変更した後、意図通りに反映されているか、設定漏れがないかをダブルチェックする作業。
【無料ツール】設定画面へ1クリックで移動できる簡易ツール
「関連する設定画面をすぐに開きたい」少しでも設定確認の手間を減らしたい方のために、本記事で紹介したチェックリストの各設定画面へダイレクトにページ遷移できる「設定画面遷移ツール」をご用意しました。お使いのkintone環境の「kintoneサブドメイン」と「アプリ一覧のCSV」を入力するだけで、 「アクセス権」や「プロセス管理」、「プラグイン設定」などの設定画面へのリンクを一覧にまとめて表示します。
ポータル画面からアプリを1つ1つたどって画面遷移する手間を省き、確認作業を少しでも楽にするためにご活用ください。
ユーザー・組織・グループの使用箇所を一発で探せるプラグイン
この影響範囲調査をもっと簡単に行えるようにするためのプラグインとして「koaAdmin」を提供しています。このプラグインを使えば、kintone環境内にある全てのアプリを対象に、特定のユーザー・組織・グループが「どこで使われているか」を横断的に検索・特定することが可能です。
まとめ:影響範囲を正しく把握し、組織変更をトラブルなしで乗り切ろう
kintoneの組織変更に伴う設定変更は、設定を変えるという単純なものではなく、システム全体の整合性を保つための重要な業務です。
最後に、本記事のポイントを振り返ります。
- 影響範囲は広範: アプリ設定だけでなく、スペース、システム管理、AI設定まで確認が必要です。
- トラブルのリスク: アクセス権やプロセス管理の設定漏れは、業務停止に直結します。
- 目視の限界: アプリ数が増えれば増えるほど、手作業での調査は現実的ではなくなります。
「どこを見ればいいかわからない」という不安を解消するために、まずは第1章のチェックリストと簡易ツールを活用してみてください。
そして、もし「これ以上の時間を単純作業に費やしたくない」と感じているなら、私たちが提供するkoaAdminが必ず力になります。組織変更の影響調査確認の時間を減らし、より創造的な業務に時間を使うために、ぜひ新しい解決策を試してみてください。
コアノーツ株式会社 代表取締役。
2016年よりkintoneの導入支援・アプリ構築等の数多くのプロジェクトに従事。
現在は現場の「あと一歩」の課題に応えるためのプラグインを開発・販売。パートナー企業の皆様が持つ高い技術力とAPIを掛け合わせることで、お客様の利益を最大化するソリューション創出を目指す。「発想をカタチに、可能性をもっと先へ」がモットー。



