kintoneの新しい通知画面に実装された一括操作の機能。未読が溜まり続けて99+となっているユーザーには、この機能を使って一括既読を行って一度リセットし、今後は溜めないように運用してもらう形も良いかと思います。
しかし、この一括既読を安易に使うのはお勧めできません。必要な連絡だからこそ通知されているという前提を無視して一括既読が乱用されてしまえば、重大な通知の見落としに繋がることが容易に想像できるためです。
重要なのは、通知を見ないことではなく、確認漏れによって実業務が止まっているかという点で評価すること。
そこで今回は、一括既読の具体的な操作と、その前に実行すべき未読を溜めるユーザーへの社内ヒアリングによる業務停滞のあぶり出し、そしてアプリの通知設定を最適化する仕組み作りの手順を体系立ててまとめました。通知画面すら開いていないユーザーの現状を正確に把握し、システム側で通知の宛先や頻度を極限まで絞り込むことで、通知の形骸化を防ぎましょう。
目次
通知の一括既読と管理者が手動すべき操作手順
kintoneのアップデートによって実装された一括既読は、正しく扱えば強力な未読リセットの手段となります。まずは、新しくなった通知画面の仕様と、管理者が知っておくべき運用の落とし穴を解説します。
新しい通知画面の一括既読機能
これまでのkintoneは、通知を1件ずつ手作業でクリックして既読にするか、JavaScriptカスタマイズを適用して一括操作を実現するしかありませんでした 。しかし現在の新しい通知画面では、標準機能として一括操作ボタンが追加されました。
一括既読の操作は次の通りで、迷わずに未読をリセットすることができます。

- kintone画面右上にあるベルのアイコン(通知マーク)をクリックし、通知画面を開く(新しい通知画面になっていない場合、画面右側の「新しい通知画面を試す」ボタンをクリック)。
- 画面右上の「一括操作」のスイッチをONにする。
- 既読にしたい通知をチェック後、「選択した通知を既読にする」ボタンをクリックする。
一括既読機能は通知画面を開かないユーザーには届かない
通知を日ごろから確認するユーザーは「画面がなんか変わった?」と気づくことができますが、そもそも通知を見ない(溜める)人は、この一括既読機能が追加されたこと自体に気づくことはできません。「通知の数が多すぎて見る気が起きない」という状態に陥っており、kintoneの通知画面自体を開く習慣がないためです。
つまり、新機能がリリースされたからといっても、システム管理者が能動的にアプローチを仕掛けない限り、このアップデートは自社の運用改善に寄与しない状態となります。
管理者からの現場への安易な通知一括既読機能リリースの周知は避ける
一括操作ができることを知った社内全体に向けて一括既読のやり方を周知することが考えられますが、一度立ち止まったほうが良いです。
なぜなら、まだ都度確認する運用ルールや通知設定の最適化が定着していない段階で通知してしまうと、通知を見ないユーザーの中には、中身を一切確認することなく毎回すべての通知を既読にする、ということをやってしまう方が出てきてしまうためです。これでは通知という仕組みそのものが完全に形骸化し、重要な業務連絡や承認依頼の見落としが多発することが想像されます。
したがって、通知を溜めてしまうユーザーに対しては、一括既読について次のようなアプローチをするなど、現状確認のプロセスをいれたほうが良いです。
- 通知を溜めている対象ユーザーを特定する
- 管理者立ち会いのもと(あるいはリモート画面共有で)、ユーザーの通知画面を一緒に開く
- なぜ溜まっているのか、それによりほかの方の業務が停滞していることがないかかの理由分析を行う
- アプリ側の通知設定を最適化した上で、過去の未読を一度リセットするために一括既読にする(一括既読のやり方はユーザーに教えず管理者側で行う)
- その後の経過を観察する
未読放置ユーザーの要因分析と個別フォロー
現場ユーザーの未読が溜まっているとき、一律の注意喚起やルールの押し付けは何の効果も持ちません。ユーザーが置かれている状況の裏側にある本当の理由を特定することから始めます。
なぜ通知画面を開かないのか?見る人との格差を埋めるヒアリング
kintoneの通知を毎日欠かさずチェックして業務を円滑に進める「見る人」と、未読を溜め続けて画面を開きすらしない「見ない人」。この二者の間には、kintoneに対する認識と行動の決定的な差が存在します。この差を埋めるためには、管理者が対象ユーザーのデスクへ赴く、リモートで画面を共有しながら実際の通知画面を一緒に開いて確認する、といったことで紐解いていく必要があります。
このヒアリングの目的はユーザーを責め立てることではもちろんなく、通知画面を開かないという行動の裏に隠された開けない理由を管理者が正確に把握するために行うものです。
見ないことではなく”業務を止めていること”を問題視する
管理者が運用ルールを設計する上では、単に通知を見ていない(未読が溜まっている)こと自体は問題ではなく、確認漏れによって実業務が停滞している場合のみをNGとする、という評価をします。
人によって業務の進め方やkintoneの使い方はバラバラです。通知画面を開かなくても、スペースの書き込みを直接見に行ったり、自身の担当する一覧画面を都度チェックしたりすることで、滞りなく承認や手続きを進めているユーザーも存在します。そのようなユーザーにとっては、未読が99+になっている状態は単に業務上必要のない通知が溜まっているだけであり、実務上の実害はありません。見ない人に基準を合わせてシステム全体の通知を止めるような対応はおかしいので、行うべきではありません。
問題視しメスを入れるべきは、「通知を見ていないことが原因で、承認が何日も止まっている」「顧客への連絡や社内手続きが遅延して、他部署や実業務に実害が出ている」という業務停滞のケースです。ここを明確なNGラインとして定義し、フォローの対象を業務を止めている人に絞り込みます。
要因に応じたアプローチで、確認意識の欠如と通知過多を切り分け
個別ヒアリングと業務停滞の有無を検証すると、未読が溜まる原因は以下2つの要因のどちらか(あるいは両方)に切り分けられます。要因が異なれば、取るべきアプローチも全く別物になります。
要因A:本人の確認意識の欠如(業務が停滞しているケース)
アプリの通知は適切に絞り込まれており、本人が対応すべき重要な連絡しか飛んでいないにもかかわらず、本人の確認不足で業務を止めているケースです。これは純粋に、ユーザーの意識の問題です。
管理者のアプローチ:
一括既読のやり方は教えず、管理者が画面を少しの間借りて過去の未読を一括既読西リセットする。その上で、「業務をサポートするために、この通知だけは毎朝必ず確認してほしい」と、通知を確認することの具体的なメリットと実務上の重要性を伝える。
要因B:通知過多による洪水(実務に実害がない、あるいは見切れないケース)
アプリの通知条件などが広すぎるため、自分が関係ないレコードの登録ログや、毎日何十件も飛んでくる自動通知に重要な連絡が埋もれてしまっているケースです。これはシステム設定上の問題です。
管理者のアプローチ:
ユーザーの画面上で過去の未読を一括既読にしてリセットすると同時に、次章で解説するアプリ側の通知設定の絞り込みを行う。設定をを最適化し、ユーザーには自分が対応すべき重要な通知しか来ない状態へ。
このように、ユーザーごとにバラバラな原因を見極めてアプローチします。
通知を最適化し、最低限の通知で業務をサポート
個別のヒアリングと一括既読によるリセットを終えたら、最後に通知が溢れないための設定の見直しをおこないます。
アプリ側の通知条件・通知対象者の変更
現場から「通知が多すぎる」という理不尽な不満が出る原因は、アプリがくなってきたことも1つですが、当初の通知条件が現在はマッチしない(もしくは当初の設定の通知先が広すぎる)といったことが考えられます。
具体的には、各アプリの設定タブから通知を選択し、アプリの条件通知、レコードの条件通知、リマインダーの条件通知をそれぞれ見直します。
参考:kintoneの通知がたまるを解決!通知を活用に変える3つの視点
通知の飛び方を最適化した上で一括既読後の経過を追う
アプリ側の通知設定を最小限に絞り込んだら、管理者は一括既読を行いリセットしたユーザーのその後の行動を、一定期間にわたって継続観察する体制を整えます。仕組みを変えても、ユーザーがkintoneを確認するサイクル自体が崩れていれば、再び未読が溜まり、いずれ業務が停滞するからです。
<経過観察の例>
- 一括既読を実行した日を「基準日」として記録する
- 1週間後、2週間後に、対象ユーザーの通知アイコンを再度確認する
- 新たに溜まっている未読通知の有無と、その中に「未処理の承認依頼」が残っていないかをチェックする
- もし業務が止まっている形跡があれば、再度その場で確認を阻害している通知がどれかを特定する
- ユーザーがkintoneの通知を確認する時間を固定させ、行動の定着を支援する
まとめ:kintone通知の形骸化を防ぎ業務停滞をゼロに
本記事では、新しい通知画面に追加された一括既読の使い方と、通知の確認漏れによる業務停滞を防ぐための運用定着アプローチを解説しました。通知を本来の業務をサポートする手段として機能させるための要点は以下の通りです。
- 一括既読の性質を理解する:むやみに使うと通知自体の意味がなくなる
- 業務停滞の有無を基準にする:単に通知を見ないのは問題なく、実業務の遅延のみをNGとする
- 要因に応じた個別アプローチ:確認意識の欠如には個別フォロー、過多には設定最適化を行う
- アプリ側で通知を極限まで絞る:アプリ・レコード条件・プロセス管理で通知の総数を減らす
- 管理者がリセットと観察を主導する:ユーザーにやり方はあえて教えず、一括操作後の経過を追う
現場の未読放置や通知過多を解決するには、自社の現状業務に合わせた細かな通知設定の見直しとサポートが不可欠ですね。


