| 2004年4月 | ソフトウェア開発会社 入社。SEとして社会人を始める。 |
| 2009年1月 | バッテリー製造会社 入社。社内SEとして各種システムの導入やユーザーに近い立場での業務改善を実施。 |
| 2016年8月 | 会計事務所のIT関連会社 入社。ここでkintoneに出会い、kintone関連事業の立ち上げに携わる。 |
| 2025年10月 | コアノーツ株式会社 創業。 |


CORE
私の原点と、コアノーツが目指す共創の形
システム開発の仕事をしていると、時折、胸が締め付けられるような記憶が蘇ることがあります。
それはまだ私が、今ほど経験を積んでいなかった頃のことです。お客様からいただいたご要望を元に何度も打ち合わせを重ねて、機能的には不足のないシステムを作り上げました。
お客様が望むものはすべてそこにあるはずでしたが、納品されたそのシステムは結局ほとんど使われることなく、静かに役割を終えてしまったのです。
私にはユーザーが見えていませんでした。パソコンに不慣れな現場の方々にとっては難解な壁でしかなく、これまでと業務の流れ・やり方が変わることへの抵抗感も、私が想像していたより遥かに根深い。
お客様のためにと全力を注いだ時間が、結果として誰の役にも立たなかったという事実は、作り手としてあまりにも悲しく、無力さを痛感させる出来事でした。
私自身が、逆の立場を経験したこともあります。組織の方針として、関連会社が使用して実績のあるシステムを自社にも導入することが決まり、それを受け入れざるを得なかった時のことです。
「なぜ、業務が全く違うのに導入しなければならないのか。」
現場の誰もが、そして私自身もそう感じているのに、プロジェクトは止まらず、歪な運用を強いられる。そこには、全体最適や管理効率といったものが優先される現実がありました。
もちろんそこも大事であることは理解していましたが、期限は決められ、それを守るために導入が進められる。私にはその時権限は無く、どうすることもできませんでした。
システムは人のためにあるはずなのに、時に人を苦しめてしまう。 使われないシステムを作ることに、マッチしないシステムを使うことに、何の意味があるのだろうか。
2017年にkintoneと出会い、このエコシステムの中で仕事をするようになってからも、その問いはずっと私の根底にあり続けました。だからこそ私は、お客様からの相談をそのまま受け取ることをやめました。「これをやりたい」と言われた時、私がまず、その目的と現状を徹底的に解きほぐすことに注力しました。
なぜそれを実現したいのか、現在はどのような業務フローで動いているのか、何が本当の課題なのか。
お客様ご自身も言葉にできていない深層にあるニーズに辿り着くまで、私は何度も質問を重ねることを続けました。
言葉の裏にある真意、行間から本当に伝えようとしていること、隠れた不安や期待。
それらを深く聴き抜き、時には「それをやるメリットはありません」「kintone以外の方法が良いでしょう」と正直にお伝えすることこそが、プロとしての誠実さだと考えるようになったからです。
あわせて、お客様がやりたいこと以上の成果が出せると判断すれば、当初の要望にはなかった「プラスアルファの提案」も積極的に行いました。
そしてもう一つ、私が強くこだわっていることがあります。それは「カスタマイズ」に対する考え方です。
kintoneの世界では、「まずは業務や運用を見直して標準機能で。できない場合はプラグインで。それでも難しい場合のカスタマイズは最終手段。」という考え方が一般的のように感じます。社内の人員でアプリを構築し育てていく市民開発の文脈において、それは正解でしょう。しかし、私たちのようなプロフェッショナルが関わる開発において、私は「カスタマイズ=最終手段」だとは思いません。
標準機能という枠に業務を無理やり押し込めば、必ずどこかに歪みが生まれます。その歪みは、現場で働く人々のストレスとなり、やがて「このシステムは使いにくい」という嫌悪感に変わり、利用そのものへの反発を招きます。かつての私がそうであったように。そうなってしまっては、挽回には多くの労力がかかり、本来の目的の実現が遠ざかってしまいます。
だからこそ、私は必要であれば迷わずカスタマイズを使います。現場の人たちがストレスなく、自然体で働けるようにするための配慮であり、反発なく受け入れてもらうために必要なものだと思うからです。まずは使ってもらうことが重要で、そのためのカスタマイズです。
そうやって、一件一件のお客様と向き合い、質問の意図を考え抜き、対話を重ねていく。そうすることで、プロジェクトが走り出す前の段階でお客様の頭の中が整理され、「話してよかった」「モヤモヤしていたものがスッキリした」と喜んでいただける瞬間は、何物にも代えがたい喜びです。
しかし、そうしてベストを尽くせば尽くすほど、突きつけられる現実もありました。 この密度でお客様に向き合える数には、どうしても限りがあるのです。
世の中を見渡せば、私とは違うアプローチで、素晴らしい技術を持ち、ユニークなアイデアでお客様の課題を解決している開発会社の皆様がたくさんいらっしゃいます。もし、それぞれの現場で戦うプロフェッショナルの皆様が、もっと自由に、もっと簡単に、その技術と発想を形にできる土台があったならどうなるだろうか。
ゼロから作る手間を省きながら、皆様が得意とする技術で自由に拡張できる。そんな手段を提供することができれば、カスタマイズという優しさを、もっと多くのエンドユーザー様に届けることができるのではないか。巡り巡ってそれが、社会全体の可能性を広げることにつながるのではないか。
私が、自分自身でシステムを納品することよりも、プラグイン開発という手段の提供に軸足を移したのは、そんな思いに至ったからです。
私たちが提供するプラグインは、皆様の技術を活かすための素材であり、発想を形にするためのものとして位置付けています。私たちだけではたどり着けないような素晴らしい解決策を、皆様の手で生み出していただきたいのです。
システムを使う人が笑顔で働ける未来を、皆様と共に創っていく。 そのために、私たちは全力を挙げて最高の手段を提供し続けることをお約束します。